化学部

化学部では農薬等の食品中での安全性及び環境や環境生物への影響の評価のための各種試験並びに農薬の組成分析・物性分析等を、最新の分析機器を用いて、実施しています。

代謝試験

放射性同位元素を用いたラジオトレーサー実験により、動物、農作物、環境(土壌、水、光)中での農薬の代謝・分解性を調査し、挙動解析を行います。

オートラジオグラフィー
高感度LC-MS/MS

残留試験

農薬製剤を実験圃場で処理して栽培した農作物や家畜の可食部位中の農薬の残留濃度を高度な機器分析法により測定し、農薬残留基準値設定の科学的根拠となるデータを作出します。

環境動態試験

農薬製剤を模擬水田(ライシメーター)に処理し、田面水と土壌浸透水中の農薬及び代謝・分解物の経時的な濃度推移を測定・解析します。

ライシメーター
セスジユスリカ・コウキクサ

生態毒性試験

農薬の環境生物への影響評価のための試験を、試験ガイドライン規定の代表生物種を用いて、実施します。

調査研究

国の事業への参画あるいは研究所独自に設定した研究課題に取り組む事により行政施策や試験ガイドライン改善へ貢献するとともに新たな技術・知見の習得に努めています。

毒性部

農薬など化学物質の安全性を評価する試験を通して、みなさまの健康維持・増進、そして環境保全に貢献しています。

使用者に対する安全性

農薬などを使用する人への健康影響の可能性を調べます。
(急性毒性試験、刺激性試験、感作性試験、解毒試験など)

動物飼育室
自動分析装置を用いた血液検査

消費者に対する安全性

短期あるいは長期的な摂取による、人の健康に対する影響の可能性を調べます。
(反復投与毒性試験、発がん性試験、繁殖毒性試験、発生毒性試験、変異原性試験など)

人の健康影響を調べるために動物の使用は避けられませんが、動物愛護と福祉の厳しい国際基準をクリアした試験研究機関であることを証明する、AAALAC Internationalの認証を取得しています。

培養細胞を用いた小核実験:遺伝子が損傷すると小核が現れる(矢印)

さらに、動物を必要としない培養組織などを用いた代替試験法(in vitro)やコンピュータシミュレーション評価法(in silico)の開発、実用化にも積極的に携わっています。

信頼性保証室

農薬の安全性試験におけるデータや結果は、国際的に通用しうる高い普遍性と信頼性を求められます。このため、信頼性保証室では、試験の計画段階から得られるデータや資料の保管等の試験をめぐる全ての状況を厳密に調査し、試験成績が適正であることを保証するための業務を実施しています。

試験事業部

試験事業部は、業務課、企画課、情報資料課から構成されています。

業務課は、農薬メーカーから依頼される各種受委託試験やコンサルテーション等について、契約を行い、所内の関係部署とも連携して円滑な試験が行えるよう企画、調整を行います。

企画課は、農薬登録の申請に必要な書類(各種申請書類、安全性試験の翻訳や要旨)及び農薬製品の各種法規制に対する届け出の作成や申請支援、国内外の農薬規制に関するコンサルテーションの実施、農薬等の残留性及び安全性の確保に関する広報活動を実施しております。

情報資料課は、試験を実施する農薬等の情報を収集し、試験に必要な薬剤を手配・管理します。また、終了した試験のデータ等のデータベースを作成し、長期の保管や必要応じたデータ参照ができるように管理しています。

その他、研究所の施設見学の受け入れ、研究所で実施している試験の技術研修やインターンシップの受入れ、研究所の活動等を報告するセミナーや講演会の開催を行っております。

総務部

総務部は、庶務課、経理課、管理課、IT管理・セキュリティから構成されています。
庶務課では職員の給与・福利厚生をはじめ所内で行う業務が円滑に進められるようにサポートをしています。

経理課は予算書や決算書の作成、現金の入出金管理、物品調達などを行っています。
管理課は研究所の施設の管理運営全般を行っています。

IT管理・セキュリティは、研究所のITインフラの構築・運用管理・セキュリティ対策とともに所内で使用するプログラムの製作・メンテナンスを行っています。

総務部は職員の皆さんが日々、研究に集中できるように研究所の基盤を支える業務を担っています。

私たちとともに、食の安全・安心を担う仲間になりませんか?